7/23北海道新聞に掲載していただきました。


リエーターファイル 1 デザイナー 栗田正樹さん(56)

 いきなり頭の中にイメージが降りてきた。描いていくうちににだんだんと鳥のようなかたちが現れ、一気に描き上げる。「孔雀あるいはPhoenix」と名付けた。発色にこだわり試行錯誤を繰り返した結果、着物と同じ方法で布を染め抜くことにした。縦2メートル、横1.2メートル。字焼きに彩られた作品だ。

色弱は特性」自ら体現

 茨城県出身、北大を経て、早稲田大学大学院で建築を学んだ後、長女の子育て環境を考え札幌へ戻った。
 就職した会社でクリエーティブ部門を担当することになったのがきっかけだった「なんにでも興味を持つ性格」から、専門の建築に加え、イラスト、コンピューターグラフィックス、アクセサリーデザインなど活躍の幅を拡げ、HBCのキャラクター「もんすけ」の動画も手がけた。
 配色豊かなイラストを得意とするが、自信は色弱者だ。誰もが見やすい色の使い方を提唱する団体、北海道カラーユニバーサルデザイン機構(道CUDO)の副理事長を務め、2008年11月には、色弱に関する著作も出版した。色弱の子供を持つ親へのメッセージを込めた。「色弱はその子が生まれ持った特性。障害なんかじゃない」
 ロサンゼルス在住の知人から現在、個展の話も来ている。「海外で自分のイメージが通用するかぜひ挑戦したい。これまで自分が築いてきた世界の集大成として映像にも興味を持っている」と意欲を示す。
 すでに持つ多くの引き出しは、まだまだ増えそうだ。新しい世界への興味は止まらない。(ICCコーディネーター・倉本浩平)