墨絵について、2003/1/28に書いた文

墨絵は実に奥が深いです。ここ半年以上はほとんど描いていません。たくさん絵が売れ残っているということもありますが、やはり、描くにはさまざまな条件があるようです。

描く前に「私という存在が現在同調できるもっとも精妙な領域の情報を」というプログラムを一度しっかりします。また、その時々によってテーマが異なりますが「わ」であったり、「調和」であったり、「愛」であったり・・その時のテーマもしっかりと意識します。

ほんのわずかですが、しっかりと確実に「発振」します。そして、しばらく毛氈を敷いたり、墨を擦ったり、水を煮沸したりして、同調するのを待ちます。同調してしまうと次は実際に描く作業に入ります。

墨絵は共同作業です。私、筆、墨、水、硯、紙、空気、これらのチームワークで絵が産まれてきます。自ら産まれるという表現が一番適切ではないかと思います。描く時にはみんなに声をかける感じです。みんなというのは私、筆、墨、水、硯、紙、空気、さらに、絵という情報を送ってくれる存在にも、全ての時空にも・・。大げさに言うと「宇宙」全体に「さあ、今から描くよ。みんな行くぜ!!」という感じです。あとは筆に任せます。身体の動き、手の動き、水の意志、墨の流れ、紙の意識にお任せです。

基本的には何枚描いても、失敗というのはありません。線がどんなに歪んでも、墨がぼたぼた落ちたとしても、それはそれで彼らの意志であり、偶然はあり得ないのです。楽しく、楽しく、ひたすら、いたずらがきをするように描き続けます。描いている途中では決して「評価・判断・批評」はしません。

最初のうちは途中で「線が歪んだなぁ」とか、「あっ、墨がこぼれた」とか、「あれっ、薄すぎたかなぁ」とか、「いまいち、レイアウトが変だなぁ」とか、いろいろと評価しながら描いていました。それをやり出すと何かしら描けなくなります。振動波が落ちてしまう感じでしょうか? 今だとよく分かるのですが、当時は気づきませんでした。

そして、しばらく描いていると「もういいですよ。終わりですよ」という感じの時が来ます。それからあとに描き足しても、なんか違和感が出てきます。墨をこぼしたりしてもOKです。素直に直感に従います。それでおしまい。本当に墨絵は面白く、楽しく、奥が深くて、しかも、描く日が決まっているみたいです。自分の描いた墨絵を、時々出して眺めますが、自分でもうっとりしてしまいます。

では。また。2003/1/28

http://d.hatena.ne.jp/kuribo-sapporo/20090529/1243595442
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